内田春菊さん

新聞の広告欄にあった、ある雑誌の見出しを見て、
「え?内田春菊また離婚してたの?」
と驚いた。
”3度目”とあったから、結構ラブラブで夫婦でテレビ出演とかしてたあの旦那さんとのことだと思ったのだけど、そういう印象だったので理由が気になってネットで検索したら、
”現在の戸籍制度に反対”
という趣旨での離婚だそうで。
うーむ、さすがだ。実は私もコレには激しく同意。
結婚して姓を変えるのも面倒だし、本籍にこだわるのも面倒だし、家長を重んじるというスタイルも面倒だし。
子供や配偶者に対する義務や権利を考える枠組みとしての法的なものはあってもいいとは思うけれど、その単位を旧来の家長制度で考えるのは、そろそろ今どきの家族のスタイルにはそぐわないと思う。
このへんの話をこれ以上掘り下げると、自分の浅知恵加減を披露するだけになりそうなのでとりあえず置いといて。。。
内田春菊さん。
世間一般から賛否ありそうな彼女と彼女の作品だけど、私は好きだ。
でも、彼女の作品を全部チェックしてコレクションしたいかと言うと、実はそこが難しかったりする。
その昔、多分本屋で立ち読みでもして初めて読んだのが、「ヘンなくだもの」だったんじゃないかと思う。違ったかな〜?
軽いテンポで、恋愛やエロに関する話を手短に並べた作品で、でも、内容は決して軽いと言えないものもあって、読後に何度も話を思い返した。
特に印象に残ったのが、女の子が散々な目に遭って自殺してしまうのだけど、自殺の原因になった相手に関してウソの告発内容の遺書を残して死んでしまう話。彼女が死に際に考えたコトは、
「何も死ぬ前にホントのことを言わなきゃいけないわけじゃないもんね」
というものだった。
(多分原文はもっと手短なセリフだったと思う。作品名ともどもうろ覚えで申し訳ない)
これを読んで、この作家は人生のエログロをリアルに切り出すのが上手だなぁって、すごく感心した。
ただ、その時は”感心した”止まりで、そういう生々しさってあまり長々と触っていたいとは思わなかったのでそれっきりだった。
その作品を読んでから数年たった時、自分が恋愛事でつまんない挫折を味わったことがあって、その時に無性に
「おとぎ話じゃない、リアルな恋愛の話を読みたい」
内田春菊さんの作品を思い出した。
それから1年くらい、内田作品をあれこれ読み漁って、読み漁っているうちに自分の恋愛のこともドライフラワーみたいに思い出せるようになって、気持ちが落ち着いたら自然と読まなくなってしまった。
で、それっきりになるかと思いきや、離婚した時にまたブームが来てしばらく読み漁って、そしてブームが去って、今度こそそれっきりになるかと思っていたら、今更できちゃった結婚したものだから「私達は繁殖している」を何度も読んで・・・。
彼女の作品を読むと、普段自分が表に出せない気持ちに共感してもらえたような気がすることがあるのだけれど、それはやっぱり表に出すのが怖い気持ちで、しばらくするとまた引っ込めたくなる。
だから、好きだと言っておいて申し訳ないけれども、彼女の作品は私の本棚にあまり長くはいない。
興味を持ったら一応本屋さんでちゃんと購入して読むけれど、その後古本屋に売っちゃって、さらにまた後で読みたくなったら古本屋に買いに行く・・・を繰り返してしまう。
そんな、気持ち的に勝手に好意を持っている彼女だったので、3度目の離婚と聞いて心配してしまったのだけど、事実婚に切り替えただけだと知って安心した。
旦那さんとちゃと愛し合ってて、お互い合意の上で事実婚をできるなんていいなぁ。
彼女は自分が「否」と思ったことには臆することなくそれを言動にすることができるレジスタンスで、なおかつ3度の結婚でついに心から愛し合える相手に出逢えて、子供を4人も持つことができて、いろいろ大変だったとは思うけれどそれに見合う収穫を得ることもできた、素敵な人だと思った。
私も自分の人生の問題にきちんと取り組んで、いつかいい結果に結び付けたいと思っているのだけれど、やっぱりそれまでの紆余曲折の期間が苦しいんだよね〜。
内田さんはエライなぁ。。。
私たちは繁殖しているレッド (角川文庫) 私たちは繁殖しているブルー (角川文庫) 私たちは繁殖しているピンク (角川文庫) 私たちは繁殖しているイエロー (角川文庫) 南くんの恋人 (文春文庫)
↑このへんはちゃんと本棚にある♪