元夫の母の思い出

アンナさんのブログを読んで、ふと思い出したのが元夫のお母様のこと。
私の最初の結婚は2年半ほど(実質は2年弱)で終わったのだけど、悪く言えば”我慢が足りない”、でも、私の独断で良い言い方をすると”傷が浅いうちの”ピリオドだった。
離婚する時の状況は人それぞれ千差万別だと思うのだけど、多分、離婚することを周囲の人間に伝える時の微妙な気まずさやためらいは、大なり小なりバツイチの皆さんは共通して経験したのではないかと思う。
アンナさんの元お姑さんの「後悔するわよ!」なんて言葉はホント鼻で笑っちゃう(ついでに言えば、たいていそういうコトを言った側の方が後悔することが多い気がする)のだけど、私の元お姑さんは全く違う言葉を送ってくださったのだった。
「yaguuuさん、今まで我慢してくれて、ありがとう
あの女性に対しては、もしまたどこかで会う機会があったら、もう”お母さん”とは呼べなくとも敬意を払いたいと思う。
元夫のお母さんは本人が自らを語ることはなかったのだけど、元夫が言うことには「親族みんなで戦前に満州へ渡り、そこで殆どが死んでしまって、母だけが生きて日本に戻ってきた」のだそうな。
それで多分かなり苦労をした末に、公務員だった元夫のお父さんと結婚したらしい。
夫婦仲は、周囲の人から私の耳に直接伝わる話は何もなかったけれども、本人同士を見る限りでは、多分悪かったと思う。
その理由はまず、お父さんの食生活や生活サイクルがとても自分勝手な印象だったから。
次に、私の元夫とお父さんの風貌はとてもよく似ていたから。(^_^;
そして、これが決定打だったのだけど、私が元夫の実家に遊びに行っていた時に、口論しているところに出くわしたから。
一般的には口論なんて、どの家庭でもある程度は起こりうることだとは思うのだけど、私が出くわした口論の現場はちょっと普通とは違っていた。
なんせ、口論の現場から私がいた場所までは、およそ300mくらい離れていたから。
正しくは口論ではなかったのかも知れないのだけれど、とにかく遠くからでもわかるくらいの大声で、お父さんがお母さんを怒鳴りつけていた。
お母さんの性格からして反論できない人ではなかったと思うのだけど、あの大きな声でわめき散らすお父さんを想像する限り、反論してもお父さんの側は何も耳に入れてないんじゃないかと思われた。
怒鳴り声の様子を見極めながら私がゆっくりと家に戻ると、とりあえずお母さんはちょこっと泣いていた。
後で聞いた話だと、お父さんの好きなアイスクリームが冷蔵庫になかったことがきっかけだったらしい。
バカバカしい。
ちなみに私の元夫も、気に入らないことがあるといきなり大声で怒り出すことがあった。
しかし私はケンカの場数は踏んでいる方なので、大声でひるむような可愛い女ではない。
「普段はいかにも賢そうな顔しているけど、自分の意見が通らなければ怒鳴り散らすんだ。
なんだ、中身はどこぞのチンピラと同じじゃん。
そんな脅迫でアタシを抑えつけることができるなんて思ってるの?
ふざけんじゃないよ!」

と、ゆっくり冷たくハッキリと言い返した。
某有名大学の法学部をまあまあいい成績で卒業し、自分の一番の取り柄は”頭がいい”ことだと思っていた元夫は、この言われ様に愕然としたらしく、途端に
「ごめん、オレが悪かった」
とすっかりしおれてしまった。
私と元夫との夫婦生活でこんなことがあったのは2回だけだったけれど、どうやらお母さんはこんな怒鳴られ方を30年も受けていたらしい。
そして、もしもの時に戻ったり頼れたりする実家もない状態で頑張っていたらしい。
ちなみに、元夫の両親は一緒の部屋で寝ていたのだけど、2人の好みと腰の状態の良し悪しの問題があって、お父さんが布団で、お母さんはベッドで別々に寝ていた。
そしてそのお母さんのベッドの脇にはある本が置いてあった。

女盗賊プーラン〈上巻〉

女盗賊プーラン〈上巻〉

もし私が夫の立場で、妻のベッドにこの本があったら
「一度ゆっくり話を聞いてみないといけないなぁ」
と、危機感を持ちそうなものなのだけど、多分お父さんはそんなコト気づきもしないし思いもしなかったのだろうなぁ。。。
そして、私と元夫とで「離婚します」という話をしに実家へ行った時にお母さんから言われた言葉がアレだったので、非常に恐縮してしまった。
いえ、もう、私はお母さんの何分の一も我慢なんてしていませんでした。ごめんなさい。
お母さんこそ、もう、そんなに我慢しないでください。
これからはあなたの息子が少しくらいはあなたの気持ちを汲み取れるようになるかも知れないことを願うばかりです。
ちなみにその息子(元夫)が言う自らの母親評は、
「うちの母は学がないから」
だったが、当然私の方からコッテリお説教しておいた。
彼は私より1歳だけ年上なのだけど、もうそろそろ自分の母親の素晴らしさを全面的に認めることができるようになったかなぁ?
そうだといいなぁ。
そういえばもうすぐ母の日だなぁ。
・・・お母さんには、何か感謝の気持ちを贈らなくっちゃね♪