家族で一緒

諏訪ICで高速を下りて、ここからはいよいよ山へ行く道だ。
軽だけど、これでも一応四駆でターボは付いている。
がんばれぇ〜っと車を応援しつつ上り坂をひたすら走ると、いつしか木々の数が少なくなり、緑の中にニッコウキスゲの黄色が混ざる高原地帯にいよいよ入った。
なーんか、のどかそうな地元のおじいさん達が運営しているらしきリフト乗り場が見えてきた。
頑張って走り続けた車を休ませたかったのと、やっと開けた景色の場所に出られたことが嬉しかったので、いったん車を停めてリフトに乗ってみることにした。
私の方は近頃おなかが出てきたので、旦那さんが久しぶりに抱っこ紐でちーちゃんを抱っこしてくれて、3人でリフトに乗った。
ちょっと根性があれば自力で登ってもいい程度の斜面ではあるのだけれど、ラクしてのんびりと高原の景色を眺めるのが嬉しい。
ちーちゃんも、旦那さんの腕の間から目を丸くして景色を見つめていた。
程よく薄曇の天気のおかげでさほど暑くもなく、かすかに吹く風が心地よい。
頂上に到着しても取り立てて何かスゴイものがあるわけでもなく、ただ一面が緑とニッコウキスゲのなだらかな山の稜線。ちょこっとハイキングコースのラインが見えるくらいで、人工物があまり目に付かないところがとても良かった。
ただ、自然にあまり親しんでいない旦那さんはハチになつかれてオタオタしていた。ちなみに白いTシャツだったのだけど、この色って虫が寄ってくる色というイメージがするのは私だけ?
ネットで調べると、「蜂は黒い色に対しては攻撃的で、白や黄色の色なら無難」とあったのだけど、結構白でも寄ってくる印象なんだけどなあ。
そんな蜂を私が払いつつしばしお散歩。ちょっとベンチに腰かけて休憩した。
色白のちーちゃんが日焼けしないように気をつけつつ、朝から移動し通して疲れていた頭と体を休めるべく、旦那さんと二人でボーっと風に吹かれていた。
しばらくしたら旦那さんがボソっとつぶやいた。
「何もこんなところに来てまで”Zガンダム”の話で白熱しなくても・・・」
???
なんのコトかと思ったら、他のベンチに腰をかけていた女性二人組の話が耳について仕方がなかったらしい。
まあそうねえ、ニッコウキスゲZガンダム、バランス悪いなあ。
再びリフトで山を下る。
下る途中の景色にあったログハウスのあるキャンプ場で、ヤギが放し飼いされているのが目に入ったので、リフトを降りてからそっちへ行ってみると、人懐っこいヤギがメーメー鳴きながら寄ってきた。
放し飼いとは言ってもちゃんと手入れもエサやりもされているらしく、荷物をかじられることもなくコミュニケーションをとることができた。ちーちゃんも興味深そうに手を伸ばすけど、ヤギの動きとうまく合わずに思うように触れられず。
とりあえず、生まれてまだ1ヶ月くらいしかたっていなさそうな子ヤギが木陰でうずくまっていたので、その傍に寄っていって記念に写真をとらせてもらうことにした。
子ヤギも人馴れしているらしく、こちらがすぐ傍でしゃがんでも「我関せず」という風情だったのだけど、すかさず他のヤギがずんずんとこちらに近づいてきた。
攻撃的・・・とまでは言わないけれど、こちらの動きが気になるらしい。多分母ヤギかな?
ちょっと気が咎めたので子ヤギは諦めて、他の人懐っこいヤギさんに協力してもらって記念撮影完了。
続いて今度は天然記念物にもなっている湿原へ。
中学生くらいの団体とお年寄りの団体がひしめいていた。夏休み前の平日だからそんなに混んでいないかと期待していたのだけど、やはりニッコウキスゲの旬には望めないコトだったかな。
あまりのんびりできるような雰囲気でもなかったのと、そろそろちーちゃんに離乳食をあげたくなったので、場所を変えてビーナスライン沿いのドライブインで昼食をとった。
今回は瓶詰めのベビーフードを持ってきてみたのだけど、結構大人の私も食べたくなる風情のモノで、ちーちゃんもパクパク食べてくれた♪
自分の食事もあるのでのんびりと食事休憩をとっていたら、近くのテーブルに親子3人連れがやってきた。子供は男の子で、多分1歳半〜2歳あたりっぽい。
お母さんだけが少しのあいだ席を外してお父さんと子供の二人だけの状態だった時、お父さんはあまり子供の様子には注意も払わずに外の景色をボ〜っと見ていた。
男の子の目の前には蓋のないカップにストローがついている状態のジュースがあって、危ないなあ・・・と思って見ていたら、案の定「じゃっぱーん!」と男の子がカップを倒してしまった。
お父さんはどう対処していいのかわからずにただオロオロ。丁度そこにお母さんが戻ってきて、お父さんは言い訳のように
「ああ、こぼさないでねって言ったのに・・・」
と言って、お母さんにその場を任せて自分は店員さんを呼びに行ってしまった。
・・・うーん、「こぼさないで」って、その年齢の子供には言うだけでは無理でしょう。
そちらのお父さんはあまり自分の子供に接し慣れていないようで、その後もお母さんと二人で大人の会話をしていた。子供の方もあまり喋らないコだった。
せっかくの家族旅行なのに、その盛り上がりの無さはどうだろう?・・・と他人の家のことながらつい心配してしまった。
・・・それとも、よもや本当の親子ではない組み合わせ?でも、似てると思うけど。
子供の世話ができないお父さんというのはいろんな事情で残念ながらたまにいるものの、子供の様子に無関心なお父さんというのは正直あまり目の当たりにしたことがなかったので、ちょっとこのお父さんの言動には軽くショックを受けてしまった。
せっかく家族旅行に来ていて、家族が楽しそうにしていないのをそのまんまにするなんて私にはできないよ。たとえこんな小さい頃の旅行では、ちーちゃんが憶えていてくれる筈もないとしても、やっぱりその時その時の幸せを感じていて欲しいと思う。
その点では、うちの旦那さんと私はちーちゃんに対する行動はお互いに異なっていても、大事に思っているという点ではお互いが一致していると思えるトコロは本当に良かったと思う。