三種混合第1回

今日はまた一段と暑い。けど予約してしまったものは仕方がないのでちーちゃんの予防接種を受けさせに小児科へ出掛けた。
三種混合の1回目だ。
三種、それはジフテリア百日ぜき破傷風のこと。
実は私はあんまり予防接種や薬に頼るのは好きではない。
なるべくならば、人間は自分の体内で自然に培う能力によって保たれることが理想だと思うからだ。
予防接種の話とは少しずれるけれど、私は何かとじんましんなどが発生する体質で、その都度よく抗生物質を用いて治している。
でも、この抗生物質というのはいつでも万能というわけではないらしい。
私の怪しい記憶では、抗生物質というのは多用していると効き目がなくなることがあるそうだ。自分の体が抗生物質に慣れてしまうというコトなのだと思うけれど、更にそれ以上に気がかりなのは、病気のもととなる微生物は抗生物質に対抗すべく変異を遂げてゆく生き物であり、抗生物質ばかりに頼ると耐性菌というものが出現してしまうのだ。
薬と病原菌のイタチゴッコだ。
なので、できることならば薬でしのいでゆくよりも、もっと根本的な部分の力で病気と闘えるようになれたらいいと思うし、根本的な部分・・・ということになると、それは基本的な自分の生活スタイルの中で培うべき事柄になるのではないかと思うのだ。
で、もしも自分がジフテリアや百日咳や破傷風にかかる可能性があるとしたら、できればその耐性は、自らその病気にかかり治癒することによって獲得したいと願っている。
・・・でも、うまく治癒すればいいけれど、世の中そううまくいくとは限らない。
また、感染症の場合は他人に感染させて迷惑をかけてしまう恐れがある。
更にそれとは別の心配事として、予防接種については稀に医療事故や副作用・特異体質を原因としたトラブルも報告されている。
予防接種は特定の病気を予防してはくれるけれど、あらゆるトラブルの予防をしてくれるわけではない。
そして、できることなら貫きたい理想論もある。
・・・ここで、ちーちゃんに予防接種を受けさせるか否かで悩むことになった。
で、どっちを選ぶのも八卦という感じではあるのだけれど、とりあえず
結核はわりと身近な病気だし・・・」
という理由でBCGは接種した。
その次に来るのはたいていポリオなのだけど、これはタイムリーにトラブルのニュースが立て続いたことと、生ワクチンだし自分が妊娠中だしあんまり関わりたくないので今のところはスルーしている。
そして、次に悩んでいたのが今回の三種混合だったのだけど、実は、昔学校で社会科の授業を受けていたとき、何気に記憶に残っていたのが
「この地域は破傷風が風土病としてあります」
という先生の言葉だった。
私の母校は今住んでいる地域の隣りの市にある。
あっちで風土病なら当然このへんでも風土病である可能性は高い。いや、多分そう説明された記憶がある。
あんまり受けたくない予防接種だけれど気になる〜・・・と思っていたら、先週の土曜日に小児科病院で接種を勧められたので、遂に
「・・・まあ、いいか」
と決断したのだった。
結構真面目に悩んでいたのに、自分の頭の中で考えが拮抗してしまい、最後は状況に流されることに応じてしまった。
ちょっと情けないなあ・・・。
先日土曜に7ヶ月検診でお世話になった小児科へ5日ぶりにやってきたのだけど、前回とは打って変わって病院は繁盛していた。
メインは小児科だけど、お年寄りの夫婦連れ、内科に用があるらしいおじさんや車椅子の人がいたりもした。その他に当然子供連れが何組か。
この病院の駐車場は4台までしか止められないのだけど、暑かったのでわずか徒歩7分の距離を私は車で来てしまった。
後から来た患者さんが駐車スペースに困ってその都度受付の人に相談しているのがちょっと心苦しかった。
まだ新しい病院だし先生は一人しかおらず、今回はそこそこ待たされた。
幸い風邪のような症状の患者さんはいない様子で、安心してまったり待つことができたけれど、すっかりハイハイが活発になってしまったちーちゃんにはかなり退屈な思いをさせてしまった。
ふと、隣りに座っていたお母さんと小さな女の子の組み合わせのうちの、女の子の手がちーちゃんに伸びてきたことに気がついた。
「ああ、だめよ、しおりちゃん」
とお母さんが子供を止めた。まあ、緩慢な動きだったし大丈夫でしょう。
「こんにちは〜」
とこちらからご挨拶した。
顔の作りは目鼻立ちがしっかりしていて髪の毛も可愛らしいおかっぱなのだけど、ちょっと体が小さいので案外うちの娘とさほど変わらない年齢かと思い尋ねてみたら、
「1歳と3ヶ月です。」
とのことだった。ちーちゃんもあと半年ちょっとすると、こんな風に女の子らしくなるのかなあ。
女の子はタオルケットにくるまれてお母さんに抱っこされて、ぱっちり睫毛の可愛い目から時々ぽろぽろと涙を流してぐずっていた。
なんでも、お母さんがベランダで洗濯物を干していた時に女の子が部屋とベランダの段差からヘンな格好で落ちそうになり、とっさにお母さんが女の子の腕をつかんで体を持ち上げたら、どうも肩か腕のあたりを脱臼してしまったらしく、さっきちーちゃんに伸ばしてきた腕とは逆の腕を動かすたびに泣いているので病院に連れてきたとのことだった。
部屋とベランダとの段差、洗濯物を干している時・・・。
うちでも十分あり得る話だ。
ちーちゃんは近頃すっかりベランダに興味津々なのだけど、やはり何か部屋とは異質なものを感じているらしく、ベランダへ出る一歩手前まで来てはじっとこちらを見つめていたりする。
一応私もその様子に目を光らせつつも洗濯物を干したり、時には網戸を閉じたりしているのだけれど・・・。
ちなみにちーちゃんは網戸に対しては、壁や窓ガラスと同じ感覚で手をついて立ち上がってうーうー言っている。
今は大丈夫そうだけど、いつか体重移動で自分で網戸を開ける方法を覚えるか、もう少し体重が増えたら網戸が外れて網戸と一緒に倒れるんじゃないかと心配ではある。
1日中ちーちゃんと一緒に家にいると、そんな風に時々事故に対する想像力が膨らんでしまってナーバスになってしまうことがある。
転落防止柵のことや、つかまり立ちできる高さに置いてある旦那さんのPCとか、考えたらきりがないことではあるけれど、そういう気持ちを今ひとつ共有できていない旦那さんを腹立たしく感じてしまったり。ああ、イカン。
診察の順番はそちらの女の子が先で、呼ばれて診察室へ入っていった先ではいかにも痛そうな泣き声が聞こえてきた。
私の中にあるかなり幼い記憶の中に、4歳くらいの時に左腕を複雑骨折した時のことがあるのだけれど、あれは本当に痛かった。
治すために当然腕を引っ張るわけで、リアルな痛さを思い出すことはもう難しいけれど、アレを表現するには一言
「ウッキーーーーー!!!」
としか言い様がなかったことは憶えている。冗談みたいな叫びだけど、我慢しながら叫ぶ声ってこんなものだ。
しおりちゃん、頑張ってね!・・・と心の中で思っていたら、割と早く診察室から戻ってきた。
まだぐずってはいるけれど、とりあえず元気そうではあった。その次がうちの順番だったので状況は聞けなかったけれど、やっぱり関節を治してオッケーということだったのかな?
さて、あれこれ悩んで結局やってきた三種混合だけど、受けてみればなんてことはなかった。
事前に簡単な問診と触診を受けて、左上腕に注射針をぶすっ!と射してもらっただけ。
ちーちゃんは「なあに?なあに?」という顔をして看護婦さんを見ていたらいきなり針を刺されたので一瞬だけ火がついたように泣いたけれど、注射が終わって念入りに抱っこしてあげながら看護婦さんにもあやしてもらったらすぐにニコニコ顔になった。
赤ちゃんって、実は幼稚園児や小学生よりも注射には強いかも?
その後は経過観察のために待合室で20分くらいヒマをつぶし、OKが出たところで早々に駐車場を空けるべく、車で家へ帰った。
途中、赤ちゃん用のジュースとうな重を買いにスーパーへ寄り、家に到着してからはちーちゃんにジュースをあげながら目一杯褒めてあげた。
最近知らない場所や人をむやみに怖がったりしなくなったし、待ち時間もいいコでいたし、注射もちゃんと我慢できたし、この暑い中のお出かけをよく頑張ったね♪
二人して食事して一息ついたところで、久しぶりに今日は少し長めのお昼寝タイムをとってしまった。
2回目の三種混合はお盆明け。そろそろ離乳食を二回食にしている頃だな。その頃に風邪などひいてしまわないように気をつけないとね。