デパートの子供広場

今日は昼間から実家の両親が遊びに来た。
母がちーちゃんを散歩に連れ出したいと言ってきたけれど、まだ1時。あまりにも暑すぎる。
いつもはのんびり母のお伴をしている父は、案外こういう時に気が回る人で、
「じゃあ、デパートへ行こう」
と提案してくれた。
今月末からの北欧旅行の為にしておきたい買物もあるらしい。
ということで、今日はちょっとラクチンモードでちーちゃんを連れ出せることになった。
ところで、うちの母はどちらかといえば江戸っ子的金銭感覚で、ひらめきのように「イイ!」と思ったものはすぐに購入してしまう。
貯蓄の才能もあるので支出のバランスはわりと巧い方ではあるのだけれど、このひらめき買いの対象がちーちゃんの身の回りのモノになると、さすがに私の気がひけてしまう。
今日も、デパートに入り、子供用品売り場に到着するや、フロアの中にある一番高い品物が置いてある棚にあった帽子を見るや
「可愛い〜♪ちーちゃん近頃頭が少し大きくなってきたから、帽子買いましょうよ♪」
と言い出した。
既に店員さんもニコニコ顔で近づいてきていたので、その場で
「いや、その品はこのフロアでかなり高い値段のモノの筈だから、他のものを見てから決めよう。」
とも言い切れず、とりあえず
「まあ、慌てないで。アレなんかはどう?」
と、一気に結論に飛びつきそうな母の思考を他へ散らしてなんとか収めようとした。
でも、今回目を付けた帽子は母のハートをがっちりキャッチしたらしい。
「そうねえ、うーん、でもやっぱりこれがいいわあ。」
うーむ、どれどれ?
・・・3千円かあ。
今まで使っていたヒモで結わく帽子は950円だったけど、まあ、確かに可愛いし、うーむ、まあ、バカ高いと断じる程高過ぎもしないかあ。
次に生まれるコがまた女の子だったら、継続して使えるかもしれないし・・・いいかあ。
ということで購入決定。
店員さんが満足してうちら家族を店から送り出してくれたところで、
「あのお店はココで一番高い品物を置いてるから、なるべくフロアを一巡してから決める方がいいんだよ〜」
と母に忠告。
「あらそうなの。でもさすがに目に付くわね〜♪」
自分の買物に満足したのであまり気にしていない様子だった。
まあでも、これからはいきなり即決はしないでくれるかな?
その後、同じフロアにある子供広場に差し掛かった時、母が思いつきで
「ちーちゃんを遊ばせてみようか?」
と言い出した。
実はここで遊ばせるのは昨日が初日だったりした。
昨日のちーちゃんは広場の外側を囲むように配置されているベンチを使って掴まり立ちをしつつ、周囲をきょろきょろと見回すのが精一杯だった。
でも、今日はどうかな?
私も試してみたかったので、早速ちーちゃんを広場に放してみることにした。
この子供広場は幼稚園児までが対象の遊び場で、クッション性のあるベンチと床で構成されていた。多分16畳くらい?のスペースをベンチでぐるっと囲んであって、中にはロディ(強化ビニール製の跨って遊ぶポニーみたいな形のおもちゃ)が6個ほど置いてあった。
ちーちゃんはまだロディに乗るのはムリだろうけど、とりあえず傍にひとつ置いてあげて、どんな反応を示すか様子を見てみた。
昨日一度来ているせいか、今日はあまりぼーっとはせず、すぐに掴まり立ちの練習を始めた。
それも結構動きが早い。
なんだろう?と思ったら、どうもベンチのはしっこに置いてあった、どこかの子供の鞄をめがけて歩いているらしい。
あともう少しでバッグを掴みそうなところで捕まえて、もとの場所へ戻す。
ロディで気をそらしてバッグのことを忘れさせようと努力。
が、またも掴まり立ちで移動開始。
でも今度のターゲットは鞄ではなく、つい今しがたやってきて座った女の子の長い髪の毛だったらしい。
ちーちゃんが女の子の腰にタッチしたところで、引き離した。ハイ、また振り出しです。
しかし、ロディはこの隙に他の子供に持っていかれてしまった。
でも、今度はちーちゃんが移動するまでもなく、2歳くらいの女の子がちーちゃんのところにやってきた。
この女の子は比較的お行儀の良い子で、私の方を見て、
「触ってもいい?」
と聞いてきたので、
「優しくしてあげてね。」
とお願いしてオッケーした。
ちょっと恐る恐る、ちーちゃんの白くて小さい手先をちょんちょん、と触って、反応を確かめてから次に握手。
最初はされるがままのちーちゃんだったけれど、慣れてきたら逆にちーちゃんの方が女の子の顔を触ってきた。
あっこれこれ、目はダメ。
こちらの方が慌てて静止。
女の子はちーちゃんを抱っこしながら、
「みえ(このコの名前らしい)ねぇ、おにいちゃんと、おねえちゃんがいるの。あとママとパパ。」
「そうか、一番下になるのかな?」
「うん。」
「あかちゃん、兄弟いないの?」
「まだいないけど、もうすぐできるよ〜。」
ここで女の子の顔にハテナマークが出たのが解ったのだけれど、さて、他所様の子供にいきなり妊娠して子供が産まれるというコトについてどう語るのが良いものか・・・と考えて始めたところでその子のお母さん登場。
話のとおり、子供が二人合流した。全員まだ小学校には上がっていないっぽい。
この年齢の子供を3人も引率して買物に来るのは難儀だろうな〜、どうやったらできますか?って聞いてみたくなったものの、こちらは実家の両親も一緒なので、このへんを潮時にみえちゃんとバイバイすることにした。
お母さんにも軽く会釈しつつ、元気に手を振ってくれるみえちゃんにも手を振り返した。
「可愛い子だったわね〜」
自宅で見せるほどのテンションでは遊ばなかったものの、他の子供と交流するちーちゃんに満足したらしい母も微笑ましげに女の子を見た。
うん、素直そうな良い子だった。
ちーちゃんもそのうちあんな風に知らないコとも積極的に遊べる子供になってくれるといいなあ。