入院生活での不満−患者編−

私が入院した病室は最大7人が入れる部屋だった。
途中で2人入れ替わったけれど、殆どが切迫早産を理由に入院した人ばかりだった。
入れ替わった2人は長い入院期間を経て出産or正産期に入り、退院していった。
切迫早産での入院で患者に求められることは、とにかく安静が第一だ。
だから、とっても退屈。
そして、入院期間が1ヶ月を超えることはザラだ。
なので、気持ちとしてはだらけ易い。
けどさ、けどね・・・
正直な気持ちを言うと、私はこの同室の皆さんとはあまり馴染めなかった。
理由としてはやはり、何よりもできるだけ早く退院したいという気持ちが強かったから。
それから・・・その〜、他の患者さんの入院生活の様子にあまり好感を持てなかったから。
他人のコトだし、仕方がないと言ってしまえばそれまでだけど、でも、自分のブログにだけ正直な感想を吐いてしまおう。
まず、食べ物について酷かった。
病院食はあまり華がない。そして、この病院の食事はとくに粗食だった。なので食べ物について不満があるのはわかるのだけど、同室の人達はむやみやたらに買い食いをしていたり、お見舞いに来る人に頻繁に差し入れをしてもらっていたりしていた。時にはファーストフードを外から買ってきてもらって、病院から出された食事はお見舞いに来た家族に食べてもらって自分はハンバーガーを食べていたりした。
まあ、ファーストフードを食べるあたりは他人事だから別にいいのだけれど、1日に最低2回以上お見舞い客からの差し入れのお裾分けがこちらにも配られてきて、私自身は断るのも面倒なのでもらいつつも食べずに溜め込んでしまっていた。
そして、このお裾分け攻撃を受けると、「土産に食べ物は持ってくるな」と私自身は家族に言っていたからお裾分けのお返しをすることもできず、またそういうやりとりに参加することも好きではなかったのでもらうばっかりの立場がどうも居心地悪かった。
それでも絶対食べ物のお返しはしなかった。
だって、安静ばかりの生活でこれ以上食べ物が増えてしまったら、体重が増えてしまう。
他の患者さんは多少病院食のご飯を残すなどして調整をしたりもしていたようだけど、体重が増えることを皆一様に気にしているわりには間食を止めようという気はなかったみたいだった。
続いて、お見舞い客について酷かった。
1日1回、家族か友人が見舞いに来るくらいはまあ普通だと思う。
しかし、同室の患者さんのうち、3人についてはちょっと迷惑な見舞い客がよくあった。
そのうち2人については患者さんの旦那さんだ。
何が迷惑かと言うと、滞在時間が長いのだ・・・。
平日は仕事の都合でせいぜい夜6時過ぎにならないと現れないのだけれど、土日祝日の面会時間は午前11時から午後8時までで、その最初から最後までずっと病室に居座っていた。
実は私は男の人が苦手だ。仕事で男の人と一緒になる場合は割り切れるから気にしないけれど、例えば電車やバスとか、映画館とかで隣りに知らない男の人が至近距離にいるのはあまり好きではない。
入院している奥さんに会いにきた旦那さんに対して(さっさと帰れよ)という態度をあからさまに出すのは失礼だと思って我慢したけれど、あまり空調の利いていない病室で自分だけカーテンを閉めて閉じこもるのは暑いので完全にカーテンを閉めるわけにもいかず、知らない男の人がずっとウロウロしている病室でベッドに横になっていても、どうも気が休まらなくて嫌だった。特にこの旦那さんのうち一人は、私のすぐ隣りのベッドの患者さんの旦那さんだったので、常に視界に入る場所にいられてとても気分が悪かった。
それから、残る一人の患者さんについてはとてもレアな人だと思うのだけど、毎日必ず2組以上の見舞い客が来ていた。多いと6組くらい来る。
親族と、何か地域サークルの仲間が来ているらしいけれど、なんとなく聞こえる話の雰囲気から察するに、彼女はそのサークル内では和田アキ子みたいな存在だったらしい。入院してからもサークル仲間がご意見伺いをしにきているようだった。
ちなみに前述のお見舞いのお菓子のお裾分けもそこから発生するケースが全体の半数を占めていた。
1日に合計で3時間〜4時間も見舞い客と雑談し続ける生活って、安静からは程遠いように思えるのだけれど、どうなんだ・・・?
とにかく私自身はちーちゃんや旦那さんや実家の両親のためにも、入院費が高くつかないようにするためにも、できるだけ早く退院したかった。
そのためだったらいくらでもおとなしく安静を続けて、病院から出された食事と薬をきっちり摂取して、自分の体調の変化によく耳を澄まして、お腹の赤ちゃんが安心できる体調に戻すことに集中した。
でも・・・同室の他の患者さんからは、何か諦念のようなものを感じてしまった。
「多分正産期に入るまでは退院できそうにないから、なるべく楽しく快適な入院ライフにしてしまおう」
という開き直り。
いろんな理由からそういう状況がほぼ確定してしまって、そう思わないとやってられない境地に達してしまったのかも知れないけれど、私はそう思えなかったし、そう思う気持ちに調子を合わせることもできなかった。
幸いそんな気持ちに私の体が応えてくれて、2週間ちょっとで退院できたから良かったけれど、長期入院って体にも心にも経済的にもあまりいいコトなさそうだなあ・・・とつくづく感じてしまった。
でも、そんな同室の皆さんも無事に出産したら、安静生活から一転、きっと悪戦苦闘しながらもやっと逢えた自分の赤ちゃんのために頑張るのだろうと思う。でなければあんな退屈な生活、やってられないだろう。
妊婦として心身が停滞している時に出会ってしまったせいであんまり仲良くはなれなかったけれど、どうかみんな安産であって欲しいと思う。