信用

ある浮気性の男の人にわかりやすいように、「信用」について話してみようと思う。
あなたは、ある飲食店の店長をしています。
その店で働いている従業員の一人が、お店のレジのお金をくすねました。
お金をくすねたことがバレてしまった従業員は、
「すみませんでした。お金は返します。二度とこんなことはしません。クビにしないでください。」
と平謝りしてきました。
・・・さて、あなたはその従業員をどうしますか?
1.クビにする
2.クビにはしないけれど、レジや金庫には一切触らせない
3.謝罪の言動を信じて、今まで通りに働かせる

さて、自分の浮気については上記のうち3の選択を妻に迫った彼なら、どれを選ぶかな?
普通に世間一般でこういうことがあったら、クビになって当然だし、クビにしなくてもお金関係から遠ざけるというのもかなり寛大な対応と見られるでしょう。
それらを退けて3の選択肢で行くとしたら、従業員は当然、自分の信用を回復するための努力を全身全霊でやらなければダメでしょう。
それをやらなければクビになっていなくても一切の昇給は望めないだろうし、そうしなければ今後またレジのお金が合わなくなるたびに自分が真っ先に疑われることになるだろうから。
お店のレジのお金に手をつける従業員を、簡単に信じることができますか?簡単に許せますか?
私にはできません。
自分の給料の元になるお店のお金を盗むことができるということは、その従業員はお金そのものだけでなく、お店のことも、一緒に働いている仕事仲間のことも、お客さんのことも、自分の仕事のことも、全然大事に思っていないということを示している。
そんな人間と一緒に働けるだろうか?
私は無理だ。
浮気も、そういうことだと思う。
夫婦の拠り所は、本来なら愛情(←という表現にとまどいがあるならば、「家族を大切に思う」という言い方にしてもいい)の筈であって、その愛情に対する信用を損ねたらどうなるか?
それはもう、お金を盗んだ店員と同じ扱いになって当然だと思う。
信頼関係は基本的に相互に歩み寄らなければ維持できないものではあるけれど、相手がその信頼に値するかどうか疑念がある状態のままで歩み寄れるかと言ったら、それは無理だと思う。
その無理を承知で信じて欲しいと言うのならば、自ら首輪を付けて妻にリードを持たせて自分が犬になってみせるくらいの気持ちで信頼回復に努めるくらいでなければ話にならないでしょう。
浮気って何故だか当事者は軽い気持ちに考えがちだけど、その結果として犯罪者並みに信用がなくなるということを心に留めておいた方がいいと思う。
・・・しかし、愛情の信用の場合、私自身はさっさと「クビ」を宣告できるタイプなのだけど、世の中には3番目の選択をできてしまう人たちが沢山いる。
そういう人たちの愛情は掛け値なしのキレイなものであることが殆んどなのに、そのキレイさに気付きもせず優しさにつけこむだけつけこんで、その愛情を壊してしまう馬鹿者もまた沢山いる。
こればっかりは、私はただ傍で見ながら溜息をつくことしかできない。