読書中

幸運の25セント硬貨 (新潮文庫)

幸運の25セント硬貨 (新潮文庫)

どうも、気分的にどよ〜んとしていて更新意欲が低くなっているため、読みかけの本をアップしてみた。
キングの短編集で、とりあえず半分以上は読んだ。やはり基本的にキングは長編向きなのか、オチがキッパリしてない話が多くて微妙かも。。。
とはいえ、文章にある味そのものは、短編でもやっぱり秀逸だと思った。

  • なにもかもが究極的

基本的に一人称のレポート的語りで進む、奇妙な仕事に就いた若者の話。
ダークタワー」というキングの長編にも出てくる人物とのことで、そっちの読者向けっぽいのだけど、私個人としては彼がこの後どうしたかが気になる。

  • L・Tのペットに関する御高説

これも、その後どうなったのかわからないお話。妻と別居するに至ったL・Tという男の、奥さんと自分・お互いのペットとの関係についての面白い考察。

  • 道路ウイルスは北にむかう

不気味な絵を購入した男の話。オーソドックスなホラーで、他の人の感想を読むとコレが結構怖かったという意見もあるのだけれど、私自身は怖いとは思わず、「なるほど面白いアイデアだな〜」と思った。しかし、これを映像化したら結構怖い話としてかなり作りこめるんじゃないかという気はする。。。

  • ゴーサム・カフェで昼食を

個人的にはツボ話。離婚に向けた話し合いをするためにカフェに集まった男女とその弁護士に災難がふりかかる。
ふりかかった災難の方が大きなトラブルの筈なのだけど、私としては、そんな状況でも心理的には険悪な夫婦関係のウェイトの方が大きかったらしい妻の言動と、離婚の話し合いをする筈なのに、妻に対する性的な執着が抜けない夫のアホ脳が面白いと思った。

  • 例のあの感覚、フランス語でしか言えないあの感覚

これが一番微妙かなー?フルムーン旅行でドライブ中の中年夫婦のエピソード。
昔、映画「キャリー」を観て、当時中学生くらいだった自分なりに宗教が生活に与える影響について、ボンヤリと理解したような感じはあるのだけれど、それがなかったらこの話はいったい何を説明しているのか全然わからなかったと思う。

  • 一四〇八号室
  • 幸運の25セント硬貨

最後の2つは未読。でもコレは評判がいいみたいなので、ちょっと楽しみ。
まだ全部読んでいない段階で感想を書くのもなんだけど、今まで自分が読んできた作品からの感想としては、やっぱり自分はスティーブン・キングは好きだなぁと思った。
短編としてまあまあ面白くはあるのだけれど、今回読んだ作品は、できれば中編か長編の小説として読んでみたかったと思った。「L・T・・・」は、まあ、ああいう終わり方もアリかとは思うけれど、特に「道路ウイルス・・・」は設定をもっと緻密に作りこんでいけば、ミステリーとしても深みを出せそうな感じがする。「ゴーサム・・・」は特に奥さんの気持ちの方にも踏み込んで描写があると更に面白いと思う。
キングについて毎回「良いな〜」と思うのは、あの物量作戦的に続く心理描写がホントに作中のキャラクターを大事に扱っている故なんだと思わせられるところにある。
話の本筋に直接絡まないような過去の記憶とか、通りすがったモノや人に向けた感想にも綿密な説明が入っていて、それらは本筋には不要なのだけど、それらがあることで登場人物に血や肉をしっかりと付けてくれて、その分だけ、登場人物の怒りとか悲しみとか喜びとか恐怖とかがこちらにも伝わってきているように思える。
あと、これは私個人の独特の琴線だと思うのだけど、キングの描く女性の心理描写にも結構好感を持っている。
女性ならではの性質に関わる部分の描写を読む感じでは、ヘンに理想化はせず、貶めたりもしない、客観的なリアリティがともなう描写が多いと思う。自分はどうもこの部分で納得できない描き方をしている作家の作品については、その話がどんなにプロットやテーマが魅力的でも結局最後まで好きになれなかったりするのだけど、今のところキングが描く女性に関してはそういう部分はない。(そんな理由で、○だちみつるとか○長・○耕作とか○刀田高あたりの作品には微妙な印象を持っている)
・・・・・・なんか、感想というにはかなり脱線している(^_^;
気分転換に、短いホラー話でも作ってみようかなぁ?