気持ちの「ずれ」の象徴

その後、旦那さんから
「ちーちゃん達のこともあるから、お互いに修復のための努力をするべきだ」
と言われた。
私としては、今さら男女としては無理で、家族として円満にやっていくための方法を模索するのはOKだと返事をして、また、旦那さんには
「もっと誰かと話したりして自分を客観視できるように、何か外に出るようなことをした方がいい」
と提案してみた。
旦那さんから関係修復のために二人の時間を増やしたいと言われ、それだと私はきっと今以上に旦那さんに辟易するだけだから、それよりは旦那さんにとってもプラスになるような距離の取り方をするべく言ってみたのだけど、本人はこの提案は気に入ったようで、
「じゃあ、休みの日に出かける趣味を始めようかな」
と言い出した。
ああ、良かった。
とりあえず休日になる度にどよどよした空気になる心配は少なそうだ。
旦那さんがそういうことを通じて気分転換や自信回復ができたら、これからについて前向きに考えてくれるようになるかもしれない。
ちなみに、この話になる前の旦那さんの表情はひどかった。
かれこれ二十年近く前に同じような表情を見たことがある。
私が別れを言い出した時の、当時の彼と同じ顔。
何か理不尽そうな、恨めしそうな、被害者意識が全面に出た顔だ。
当時の彼は嫉妬深いくせに自分は元カノに心が揺れていて、私がそんな状況にすっかりしらけて別れを切り出したら、
「結婚しよう」
と抜かしたので、こちらはナメんじゃないぞバカヤローと言いたいのを省略して即答で断ったらそんな顔になった記憶がある。
なんだろうね、時々いるんだよね、一度交際を始めて、自分の方には特に問題がないと思っていたら、まるで水道から水が出てくるのと同じように彼女から愛情が供給されると思い込んでいるヤツ。
でも、本当は水道のインフラがちゃんと機能するようにメンテしてくれる人、水質をチェックしてくれる人、水道料金をちゃんと払ってくれる人がいて初めてそうなるわけで、恋愛ならそれは全部自分でやることなのに、関係が破綻したら、自分以外の何かか誰かのせいだと文句を言って、当たり前のように復旧させろと主張する。
今回、旦那さんはそんな表情にはなったけれど、口に出さなかった分だけ偉かったと思う。
漠然とし過ぎてなんだけど、お互い前向きに、将来について考えたいよね、うん。